ヘアカット専門店がうまれたきっかけ

創業者の小西氏は、大事な商談前に高級床屋を愛用していました。ある日、急ぎで「30分で」と依頼したところ、普段の半分の時間でいつも通りの仕上がりになったことで、従来の髭剃りやシャンプー、マッサージといったセットサービスや一律の料金体系に疑問を抱くようになります。

「不要なサービスの料金分まで顧客が負担しているのではないか」と感じていた中、同店で寝過ごして商談に遅れるトラブルを機に足が遠のきました。この経験から「カットに特化した店を開こう」と決意し、男性のカットだけなら10分程度で済むという計算から、「10分1,000円のヘアカット専門店」というコンセプトが生まれました。

市場調査に選んだのは “あえての関西”

理美容業界は素人でしたので、徹底的に市場調査を実施しました。数字での確証を得るため、繁華街の難波・ビジネス街の梅田・住宅街の千里ニュータウンという地域特性の異なる関西3地点で調査を実施しました。結果、「利用してみたい」が想定の6倍の30%という驚くべき数字を記録。お金にシビアなエリアでのこの手応えから東京での成功を確信し、事業としての立ち上げを決意しました。もしこの調査結果が悪ければ、QB HOUSEは誕生していなかったかもしれません。

ゼロから作り上げた「ヘアカット専門店」

当時は“ヘアカット専門店”という業態自体が存在せず、1号店のオープンまでに3年を準備に費やしました。店舗のミニチュアを作り、動線や配置を徹底検証。狭い店舗でも効率よく回転できるよう工夫し、カットブースを斜めに配置することに。その結果、コスト削減だけでなく「お客さま同士が鏡越しに目を合わせにくい」という快適性も生まれました。

業界初の券売機

QB HOUSEは、理美容業界で初めて券売機による“先払い方式”を導入しました。これにより、スタッフは会計業務をせず、カットに専念できるようになりました。当時は「カット前に支払う」という文化がなく、お客さまもスタッフも戸惑いがあったそうです。しかし結果的に、スピードと効率を両立するQB HOUSEの象徴的な仕組みとなりました。

徹底したコスト意識から生まれた
QBシグナル

創業者は、すべての作業を「時間=コスト」で考えていました。
10分1,000円(創業当初のカット料金)なら、電話で予約や道案内をするために2分かかったとしたら200円のコストが発生する、傘を取り違えたというお客さまの対応に5分かかったとしたら500円のコストが発生…。それでは採算が取れません。そこで、予約不要でも混雑状況が分かる「QBシグナル」を開発。信号機の色で待ち時間を知らせることで、効率化と利便性を両立しました。これは現在もすべての店舗についています。

エアウォッシャー

創業当初から変わっていないものがもう一つ。シャンプーをせず、「エアウォッシャー」という機械で、切った髪の毛を吸い取る方式です。これは、濡らしてドライヤーで乾かすという水と電気のコストを削減する発想から生まれたものです。この掃除機のように髪を吸う独特なスタイルは、開発時に何度も試行錯誤を重ね、結果、一般的な理美容店の3分の1程度のコストで店舗を作ることを可能にしました。

規制緩和でカルテル撤廃

1995年末、理美容業界に大きな転機が訪れます。長年続いていた「営業時間や料金を統一する業界カルテル」が、規制緩和で1996年4月より撤廃されることになったのです。これを追い風と捉えた小西氏は、予定より1年前倒しで出店を決断。時代の変化も、QB HOUSE誕生を後押しする大きな要因となりました。

ついにQB HOUSEが誕生!

1996年11月、JR神田駅から7~8分ほど歩いた雑居ビルが立ち並ぶエリアの一角にQB HOUSE 1号店「神田美土代店」がオープンしました。初日は雨にもかかわらず多くのお客さまが来店し、テレビ局や新聞各社も取材に訪れました。全面ガラス張りの店舗やセンサー式で券売機と連動し自動点灯されるQBシグナル、カットブースに置いている10分を測る砂時計をなど、独自の仕組みが話題に。“短時間・低価格・高品質”という新しい理美容文化は、ここからスタートしました。